ポリゴン表現を用いた切削シミュレータの開発

従来の切削シミュレータ

近年,切削シミュレータは加工途中の工作物形状の確認や,切削力の推定などができるようになってきました.
従来の切削シミュレータに関する研究は,図1のようなボクセル表現と呼ばれる,小さな立方体の集合で工作物を表現しています.
しかし,この方法では,工作物の寸法精度(空間分解能)を増加させる場合,ボクセルの大きさを小さくしなければならなく,
図2に示すように,工作物を構成するボクセル数が増加するしてしまい,計算時間が増加してしまいます.

図1 ボクセル表現図1 ボクセル表現 図2 ボクセル数と空間分解能の関係図2 ボクセル数と空間分解能の関係


そこで本研究では,従来のボクセル表現を使用しない新しい高速,高精度な切削シミュレータの開発を目的とします.

本研究では,多角形の面で表現されるポリゴン表現に着目しました.
また,Vattiクリッピングと呼ばれる2次元のブール演算を高速に行えるアルゴリズムを応用することによって,高速化を行いました.
Vattiクリッピングは2次元でのみ行えるアルゴリズムであるため,2次元のポリゴンを積層することによって,3次元化を行いました.

*気になるその性能は

図3にシミュレーション結果を示します.このシミュレーションは工具1回転あたりの移動量を計算し,その移動量ごとに工具を移動させ,シミュレーションを行っています.
よって,実際の加工時間と同様に,工具の回転数や送り速度によって,シミュレーションに掛かる時間が変化します.
図4にシミュレーションの計算時間と実際の加工時間の関係を示します.この結果から,非常に高い工具回転数,送り速度でもシミュレーション時間のほうが短いことがわかります.

図3 シミュレーション結果図3 シミュレーション結果 図4 シミュレーションの計算時間と実際の加工時間の関係図4 シミュレーションの計算時間と実際の加工時間の関係

シミュレーションの動画(ポケット加工)


Man-Machine Lab. http://www-mm.hm.t.kanazawa-u.ac.jp/

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