研究紹介

概略

本研究室は,生産加工における現象そのもののみならず,生産の自動化,高精 度化を実現するための生産システム全体を研究の対象としています。

研究分野は基礎となる様々な加工現象の解明、数値解析や自動制御の理論とそ れに基づくソフトウェアの開発,さらにソフトウェアとハードウェアの一体化 による機械のメカトロ化,知能化、CAD/CAMシステムやロボットのコントロー ルなども含まれます。

代表的な研究課題

産業用ロボットによる3K作業の自動化

高齢化社会を迎えて,熟練作業者の減少する中,いわゆる「3K作業」の自動化 は,人間でなければできないとされている高度な作業が多く,依然として遅れ ています.当研究室ではCADシステムを用いて多関節産業用ロボットを知能化, ティーチングレス化し,その問題に対応しようとしています.

産業用ロボットってなあに?

塑性変形型ラピッドプロトタイピングの開発研究

現在,自動車の車体パネルや電気製品のケース等の金属製品の多くは金型を用 いたプレス加工で製造されています. しかし金型は大量生産には向いていま すが,試作品や多品種少量生産にはコスト,時間的に不向きです. そのため,試 作品や少量生産品は,多くの場合,熟練作業者による手作業に頼っています.
そこで本研究では,熟練工に頼っている手作業でのプレス加工をCADデータに基 づいて自動化を行うことを目的としています.

オープンソースCAMカーネル"Kodatuno"の開発

KodatunoはマルチプラットフォームなオープンソースCAMカーネルを目指し開発中のソフトウェアです。OSへの依存を極力減らすため、開発言語はC/C++、3D描画にOpenGL,IGESファイルを読み込んですべてNURBSで表現します。
本ソフトウェアの開発目的は、NURBS曲線/曲面に対する各種操作、演算関数を各種用意し、CAM開発者/研究者がこれら関数を組み合わせることによって、それぞれの目的に即したアプリケーションを構築することが可能となることです。
ぜひダウンロードして使ってみてください.そして一緒に開発しませんか?

ポリゴン表現を用いた切削シミュレータの開発

切削加工中,被削材の形状は当然のことながら時々刻々と変化します.この変化の過程を高精度にシミュレーションすることができれば, 加工面性状を悪化させる要因をシミュレーター上で発見でき,生産効率を改善することができます. 従来の切削シミュレータでは,シミュレーションできる時間分解能と空間分解能に限りがあり,あまり高い分解能でのシミュレーションはできませんでした. 本研究では,CG分野で使われている高速演算アルゴリズムを応用することで,これまでにない高い分解能での切削シミュレーションを可能にします.

産業用ロボットの高精度位置決めに関する研究

これまで産業用ロボットは,人間が行ってきた作業の一部自動化を目的とした使用が主流でしたが,近年ではロボットに切削工具を持たせ,工作機械の代替として切削加工を 行うといった利用が模索されています.しかしこの場合,工作機械が具備するマイクロメートルオーダーの高い位置決め精度をロボットでも実現する必要があります. 本研究では,ロボットの持つ位置決め誤差を空間上にマッピングすることで,工作機械並みの高い位置決め精度を実現することを目的としています.

工作機械主軸の動特性を非接触で把握する研究

工作機械のミル主軸は,ときには1万rpm以上の回転数で回転しながら切削加工を行います.このくらいの回転数までくると,主軸のもつ動特性は静止時とは全く異なる場合があり, この特性を正確に把握しておくことは,加工効率や加工精度の観点からとても重要なことです.しかし,高速回転中の主軸の動特性を正確に測定する手法はあまり確立されていません. 本研究では,渦電流ブレーキの原理を応用した全く新しい動特性測定法を開発しました.

球面加工機の高精度位置決めに関する研究

近年,機械学習の台頭により,厳密に関数で表現することが難しい問題も高い精度で解を得ることが可能となってきました.産業用ロボットや工作機械などの位置決め機構の研究を行っている本研究室においても, 機械学習の持つ可能性を位置決め機構に応用できないかと考え,「AIによる球面上の任意の位置への位置決め」をテーマに,球面加工機というものの制作を行っています.

逆強化学習による加工手順決定

この研究では,機械学習の一種である逆強化学習という手法を使って機械加工の熟練者の意思決定をAIに模倣させようという研究です.近年の複合加工機と呼ばれる工作機械は,非常に多くの加工方法が一台に集約されており,大幅な工程集約が可能となる反面, 複雑な加工部品をどの順番でどのように加工していくかという加工手順の選択肢は非常に多く,図面情報から効率的に加工手順を決定していくためには熟練が必要です. 将棋AIが昨今の棋士に必須のアイテムとなったように,加工者の意思決定をアシストできるシステムを開発しています.


Man-Machine Lab. http://www-mm.hm.t.kanazawa-u.ac.jp/
Monday, 05-Oct-2020 16:54:49 JST
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